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【自由に研究ラボ】職員と実験機器を貸し切りにして、気軽にとことん探究!

浜松市の市政情報番組「浜松ふかぼり部」で当館のイベント「みらいーら 自由に研究ラボ」を取材していただきました。完成した紹介動画では、過去のnote記事に登場したクマゼミの卵やダンゴムシの進化など、身近な生き物の魅力的な一面を紹介しています。是非ご覧ください。

本記事は動画公開の告知をメインに紹介する予定でしたが、執筆しているうちにイベントを企画した意図や、イベントを通して子供たちに感じて欲しいことなど、様々な想いが溢れてきてしまいました。ざっくばらんな文章になってしまいましたが、ご容赦ください。

【開催中】みらいーら 自由に研究ラボ

昨年、子供たちが科学館の電子顕微鏡や職員を1時間貸切にするイベント「超拡大ラボ」を開催しました。
電子顕微鏡で観察した物の画像や、子供たちが体験を通して気づいたこと、針山孝彦先生(浜松医科大学)の子供たち一人一人へのメッセージなど、とても熱い情報が下記リンクにまとめられています。是非ご覧ください。

今年は子供たちの探求心や要望にもっと応えられるように、貸出する機器をさらに充実させてイベントを刷新しました。名称も「みらいーら 自由に研究ラボ」変わりました。

みらいーら 自由に研究ラボ

イベント概要

浜松科学館にある実験機器を、職員と一緒に使って実験しよう。自由研究を充実させたり、興味のあることを探求したり…。実験の結果はパネルにまとめて「科学の学園祭※」で紹介します。
※今年秋〜冬に当館で開催予定の催し
 
【対象】浜松市内在住・在学の小中学生

A.電子顕微鏡の貸出
応募期間:5/1〜5/22
開催日:6/4〜7/9の土日(6/18-19を除く)
時間:①10:00〜 ②11:30〜 ③14:00〜 ④15:30〜
▲ お申し込みを締め切りました
 
B.その他実験機器の貸出
応募期間:7/1〜7/18
開催日:7/30、7/31、8/6、8/7
時間:①10:00〜 ②13:30〜 

浜松科学館ウェブページ

貸出する物によって、AコースとBコースに分かれます。
 
Aコースは電子顕微鏡。

電子顕微鏡編

Bコースのその他の実験機器。具体的には、解剖セット(ピンセット、ハサミ、メス)、メスシリンダー、試験管、乳鉢、乳棒、シャーレ、ビーカー、リトマス紙、ガスコンロ、デジタル実体顕微鏡、デジタル生物顕微鏡を予定しています。

その他の実験機器編

電子顕微鏡、デジタル実体顕微鏡、デジタル生物顕微鏡で撮影した画像データは、イベント後にメールでお送りします。

イベントへの想い

① 「設備」「人」「場」をフル活用

科学館には、電子顕微鏡、生物顕微鏡、実体顕微鏡やその他の実験機器など様々な設備があります。
当館職員は、生物学や化学、物理学など様々な分野を嗜んでおり、日常的に科学と触れ合っています。
また、特別展・企画展や体験イベントなど、様々な催しが職員によって考案・企画されています。
 
自由に研究ラボは、これら「設備」「人」「(発表や創造の)場」という当館のリソースを存分に活用してもらうことを目指しています。自由に研究ラボで観察した内容は、許可をいただいた方を対象にポスターにまとめ、企画展で展示する予定です。

② 子供たちにより充実した研究環境を提供したい

夏休み期間になると、当館宛に「顕微鏡を貸してもらえますか?」という問い合わせをいただくことがあります。電子顕微鏡ではなく、学校の理科室に置いている実体顕微鏡や生物顕微鏡の借用希望です。

このような子供たちの要望に対して、「いろいろな機器を使って気になる事を実験・観察をさせてあげたい」という想いが生まれたことが、イベントを企画した一番のモチベーションです。

一方で、イベントでは特別な機器を使えることを目玉にはしていません。
現在は特別な装置である電子顕微鏡も、今後の科学技術の発達とともに価格が下がり、操作性もどんどん簡便になることでしょう。もしかしたら各学校に電子顕微鏡が設置される未来もくるかもしれません。またPCやスマホに繋いで使うデジタルスコープは既に市販されています。
 
実験機器はあくまでもツールです。そのツールがたまたま手元にないだけで、目の前のアイディアや疑問を探究できないことは、子供たちにとって大きな損失だと思います。このイベントを通して、満足に探究できる機会を少しでも増やしていければと考えています。

③ 自由研究の前から関わってみたい

当館ではこれまで自由研究の成果を講評し、表彰式を執り行ってきました。しかし、成果としてまとめられる以前の段階から、子供たちの研究に触れたり、子供たちとコミュニケーションをとる場はあまりありませんでした。
 
地域にある科学館として、もっと子供たちとのコミュニケーションの場を持ちたいという想いから「探究のサポートをしちゃおう!」と思い立ったことも、モチベーションの一つです。

とは言っても自由研究を行う主役は子供たちです。職員はあくまでサポート。基本的には実験機器の使い方や実験・観察を行う上でのコツなどのレクチャーに徹します。そして、得られた結果に対して一緒に面白いポイントを探したり、疑問を育てたりします。

現在、Aコースの電子顕微鏡の回は終盤ですが、主に担当した筆者にとって多くの発見があり、勉強になりました。おかげさまで今後の自然観察会に活かしたいネタがたくさん得られました。子供たちと一緒に探究し、新たな面白い知見を増やしていく、正に科学館の仕事の醍醐味と言えるでしょう。

④ 科学をもっと自由に、フランクにしたい

ここまで「自由研究」という言葉がたくさん出てきました。
しかし、私たちは子供たちにいわゆる「夏休みの自由研究」をイベントの中で取り組んでほしいと願っているわけではありません(もちろん、イベントを活用して取り組んでもらっても嬉しいです!)。

  • 背景、仮説、材料・方法、結果、考察がある

  • この研究は将来こんなことに役に立つ

  • これまでの研究成果を踏まえて、こんなふうに飛躍させます

そんな立派なストーリーや意義がなくても良いと思います。

  • 目の前に歩いているアリは電子顕微鏡で見たらどんな感じかな?

  • 水を温めると無くなっていくけど、ずっと温め続けたらどうなるかな?

  • 鉛筆のHとかBとかって何が違うんだろう?とりあえず、顕微鏡で見てみようかなぁ

イベントに参加する一歩目は、そんな気軽な、ちょっとした疑問でもOKです。初めて料理をするのに、いきなり手の込んだフランス料理に挑戦しなくても大丈夫です。簡単で好きな所から、気軽に取り組んでいきましょう。

小さな疑問に取り組み始めると、きっと疑問が解決してさらなる疑問が生まれるでしょう。たとえ疑問が解決しなくても、別の気になる点が生まれたり、予想外の発見があるはずです。
 
昨年度の「超拡大ラボ」に参加した子供たちも、そんな小さな疑問、大きな疑問、小さな発見、大きな発見、新たな疑問をたくさん持ち込み、生み出していました。その様子をお読みいただくだけでも「夏休みの自由研究」の種子がきっと見つかると思います。

科学館では、誰もが好きなことに触れて、取り組むことができる場を提供したいと考えています。
 
そんな職員の想いを含みつつ、浜松市の市政情報番組「浜松ふかぼり部」の「みらいーら 自由に研究ラボ」の動画をお楽しみいただけたら幸いです。

 この夏休みに多くの子供たちが気軽に、そして自由に科学を探求することを切に願います。

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