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浜松ミクロ散歩「二ホンウナギ」前編~ウォットで出会ったウナギたち~

「浜松のことをもっとよく知りたい!」
好奇心旺盛なスタッフが浜松科学館を飛び出して、浜松各地を訪問。
訪問先で出会った方々とふれあい、こだわりの商品などを科学館にある電子顕微鏡で観察して、ミクロから浜松を探っていく企画です。

今回研究するのは、浜名湖の生物。
浜松に豊かな恵みをもたらしてくれる浜名湖。マリンスポーツなどのレジャーに、ウナギ、海苔、牡蠣などの名産品、周辺には観光施設も充実しており、浜松屈指の人気スポットです。

実は、人間のみならず、魚や水辺に暮らす生物たちにとっても浜名湖は超人気スポットらしいのです。
海水と淡水が入り混じる汽水湖(きすいこ)という特徴をもつ浜名湖は、湖に暮らす生物だけでなく海の生物も行き来できるため、たくさんの種類の生物が生息がするのだとか。

そんな浜名湖で暮らす魚や生物たちの、泳いだり、食事をしたり、眠ったり… のびのびと暮らす姿を観察できる、浜名湖体験学習施設「ウォット」に行って参りました。
館長の大竹さん、当館のスタッフである、松本さん、堀江さんに、浜名湖の生物について、お話を伺ってまいりました。

左から、松本さん、大竹さん、堀江さん

「うなぎの池」で数百匹のウナギとご対面

汽水湖である浜名湖の生物として特徴的なのが、川や湖などで成長し、海で産卵すると言われるウナギ。
ウォットには「うなぎの池」という、浜名湖周辺の地下水を用いた屋外のウナギ養殖の池があり、施設内でも人気の展示になっています。縦に深い造りになっている養殖池が多数あり、それぞれの池で異なる種類のウナギが飼育されています。その中でも中庭に面した二つの池は、ガラス窓があるのでウナギの泳ぐ姿を真横から眺めることができるんですよ。

このガラス窓からウナギの餌やりを眺めることができる「ウナギのパクパクタイム」は常設展示の中でも人気のイベントの一つです。(毎週火曜・木曜・土曜・日曜・祝日 / 15時より約10分間開催。)

小粥
今から見せていただくのが、ニホンウナギと…

松本さん
バイカラウナギですね。バイカラウナギなんですけど、まだ和名がついていないものになります。一応、浜名湖にも見られる種類にはなるんですが。

小粥
バイカラウナギは、日本にもいるものなんですね。浜名湖にもいるんだ。
南のほうから黒潮とかに乗ってくる感じですかね。

松本さん
そうですね。本当に稀ではあるんですけどね。
暖かいところに多く生息する種類になります。学名が「Anguilla bicolor(アンギラビカーラ)」といいます。

小粥
なるほど。“bicolor” から取って、 “バイカラ” ウナギ か。
(キャプションを見て)ずんぐりしてるんですね。ほほう、味は意外と美味しいって書いてある(笑)

松本さん
そうらしいですね。僕食べたことないんですけど、他の飼育員が食べたことがありまして、
ちょっと脂が多かったり、身体が大きくなるので皮が厚かったりするみたいですよ。

小粥
へ~!ちょっと大味というか、脂っこい感じですかね。
この池にいるのは全部バイカラなんですね。確かに大きく見えるな。
ウナギってこんな直立してじっとしていたりもするんですね。

松本さん
この子たちは割とああいう体勢でいることあるんですが、多分自然だとあんまりやらない行動かもしれないですね。
この行動が良いかと言われたらう~んという感じ(笑)

小粥
イベントの餌やりもこちらでされるんですか。

松本さん
基本的にはそうなんですが、最近、バイカラウナギの調子が悪くて…。
ウナギって、結構、神経質な生き物なんですよ。
例えば、大雨が降ったりだとか、この水槽の中で他のウナギが死んだりすると食べられなくなっちゃう時があって。
ですので、様子を見ながらイベントの開催は判断していますね。
この隣がニホンウナギの池になります。

小粥
あ~、ニホンウナギは随分と小さいですね。
先にバイカラウナギを見てしまったから余計かも(笑)うん、かわいい。
こちらで飼育されているニホンウナギは、個体としてはどういった由来のものなんでしょう。

松本さん
浜名湖分場(静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場)という研究所が隣にあるんですけど、そちらで育てたものをこちらで譲り受けて飼育しております。

小粥
お、これは噂のパンダウナギですか?白い模様が入ってる。

松本さん
こちらにいるのは、全部ただのニホンウナギになります。多頭飼いしているので、噛み合っちゃったりして傷になっちゃって白く見えてしまっています。
一階の展示室にパンダウナギの展示がありますので、是非見ていってください。今回は特別にバックヤードもお見せしますよ。

ウォットのアイドル「パンダウナギ」

まるでパンダのよう!白と黒の独特な模様のある「パンダウナギ」が、ここ数年、ウォットで人気を集めているのをご存知ですか。
普通のウナギとは少し違う、白くなめらかな体に墨汁の滲んだような美しい白黒模様がチャームポイント。
「パンダウナギ」という親しみのある愛称で、当館のアイドル的存在として来場者の目を惹いています。

小粥
お~!これがパンダウナギ!
パンダウナギは飼育している個体の中で稀に出てくるような感じですか。

松本さん
パンダウナギは、養鰻場さんからいただいているものになります。
養鰻場さんは、稚魚であるシラスウナギの状態のウナギを何万匹と獲って、そこから飼育を始めます。飼育をして大きくなった何万匹の中にたまに混じっていて「変わった個体が混じってたよ」と当館にご連絡いただき、それを僕らがもらっているという形です。

小粥
綺麗な模様ですよね。漫画でいうトーンみたいな。

松本さん
綺麗ですよね。このパンダ模様は、色素がぬけてしまう「色素変異」が原因です。

小粥
ふむふむ。普通のニホンウナギと比べて、違うのは色合いだけなんですか。

松本さん
そうですね。色合いが基本的に違うだけで、味もそんなに大差ないんですよ。
そして、こちらがパンダ模様よりもおそらく珍しいであろうという真っ白なウナギ。

小粥
わ~、本当だ!真っ白い!

松本さん
目を見ていただくと、黒いですよね。ですので、アルビノではなくて、これも色素変異。

小粥
なるほど!
よく見るとパクパクしてますね。これは呼吸してるんですよね。
なんか面白い動きをしてますね。コポンコポンって。
お、水が抜ける穴も見える。あれ、普通の魚ってもっと穴が大きく開いてません…?

松本さん
エラで呼吸してますね。
魚によって、鰓蓋(えらぶた)やその付近の構造や大きさは違いますね。

小粥
ウナギは、エラが “穴” って感じですね。

松本さん
あはは(笑)
そうですね、他のウナギ目でいうと、アナゴやウツボ、特にウツボなんかも “穴” って感じですよ。

小粥
あんまり息しないのかな(笑)じっとしてますもんね。

松本さん
そうですね。じっとしてることの多い生き物ではあります。

小粥
意外と口が小さいなあ。
一見、歯があるようには見えないですよね。

かろうじて見えるウナギの歯

松本さん
歯はザラザラとしていて、噛まれると結構痛いです。
オオウナギだと見やすいんですけどね。オオウナギレベルになると噛まれたら血が出ます。

小粥
ニホンウナギでも噛まれると痛いですか。

松本さん
ニホンウナギだったらそこまでかな。この大きさですので大丈夫です。

小粥
彼らは肉食ですよね。
以前、館長さんのお話を伺う機会がありまして、その時に「ウナギは夜行性で、泳いでいる時に美味しいものが尾ビレに当たると匂いを感じて追跡する」って聞いたことがあります。

松本さん
エビとか小魚とかそういったものをよく食べますね。
味蕾(味を感じる器官)が、体全体にあって、獲物に接触するとスッとそのままバックで泳いでパクッと食べちゃいます。

普段は見られないバックヤードを見学

松本さん
では、バックヤードもご案内しますね。ここでは、展示に出していない生き物たちを管理しています。

小粥
わ~!すごい!これ全部ウナギですか。

松本さん
この一列は、基本的にウナギが入ってるんですけど、ここにいるのはパンダウナギですね。

小粥
みんな休んで寝床に入ってますね。パンダウナギが結構たくさんいる。

松本さん
10万匹に一匹という確率らしいんですが、母体数が多いので結構いただけることが多いです。

小粥
きっと自然の環境だと、白いと捕食者に見つかっちゃったりだとか、そのせいで大きくなれないとかあるんでしょうね。

松本さん
そうですね。目立つ色は食べられちゃうので。養殖っていう環境だからこそ見られるのかもしれませんね。
ウナギの池の子たちよりも、ここにいる子の方が数が少なく平和なので、体が綺麗ですね。

小粥
本当ですね。ストレスフリーだ。もし可能でしたら触ってもいいですか。
手を冷やしてからの方がいいのかな。頭いくと噛まれるとかありますか。

恐る恐るバイカラウナギに手を伸ばす

松本さん
是非是非。そうですね。まあ、粘液とかで守られているのでそこまで冷やさなくても大丈夫ですよ。
あと、バイカラに関しては噛まないので大丈夫です。

小粥
(触ってみて)お、お~~!これは!あんまり他にはないツルツル感。
僕、ウナギ初めて触ったかもしれない!ニホンウナギもこんな感じですか。

ツルッと手からすり抜けていく

松本さん
よかったら触ってみますか。

小粥
(触ってみて)おお~!ツルツルと逃げる!逃げるというか、つかめない。
どうやったらつかめますか。

松本さん
片手で頭と胴の付け根をグッと持つといいよって話を聞いたことがあります。でも、難しいですよね(笑)
やっぱり養殖場の方なんかはすごく上手だなと思います。

小粥
養殖場のウナギでも泳ぎがうまいですね。個体によっては、バックで泳ぐの上手い子もいるな。
(つかみ損ねて)うう~!でも、あんまりやると可哀想だからこのぐらいにしときます。

松本さん
こちらにはオオウナギがいますね。

小粥
うわ~!こりゃ大きい!怪物って感じ。ヌシのようだ!

水の底でジッとするヌシ

松本さん
オオウナギは最大で2mぐらいになります。

小粥
ってことは、まだ大きくなりますね!?
オオウナギは日本にはいないですか。

松本さん
この子も、もうちょっと大きくなりますね。
オオウナギも日本にもいます。たまに浜名湖にも入ってくるんですけど、沖縄とかの方に多いですね。

小粥
もし温暖化でさらに暖かくなっちゃったら、こういうのが浜名湖にウヨウヨする未来が、千年、二千年後にはあるのかも。
蒲焼き とか言ってオオウナギを食べてるのかもしれない(笑)
餌は全部同じものを与えてるんですか。

松本さん
同じものですね。練り餌って呼ばれるものです。
魚粉、魚の油、水、この3つを合わせたものですね。
この後、ウナギたちの餌を作るので、ご覧になっていってください。

ウナギのご飯は巨大お魚ハンバーグ?練り餌作りに密着

堀江さん
本日はよろしくお願いします。
では早速、ウナギの餌を作っていきますね!
魚粉と油と水を混ぜて練るんですが、分量の比率が決まっています。作りたい量から計算します。

小粥
養殖屋さんと同じレシピなんですか。

大竹さん
そうですね。ベーシックなレシピですね。
養鰻場によっては比率を変えたり独自のものを入れたりして工夫をしているところもあるみたいですよ。
詳しい配合とかは企業秘密みたいです。

堀江さん
今日は1600gを作るので、それぞれの量を計算して計っていきます。
入れる順番は、まずは魚油。スケソウダラの油です。666g入れていきます。

堀江さん
次は水を入れます。水は水道水じゃなくて、ウナギの池でも使用している浜名湖周辺の地下淡水を使っています。
年間通して24度くらいの温度です。分量をしっかり計らないと、ベチャベチャになったり逆に粉っぽくなったりしてしまいます。
失敗するとウナギがその次の日から急に餌を食べなくなってしまうこともあるので、なるべく慎重に作ります。

秤を見ながら慎重に材料を追加していく

小粥
ウナギはデリケートなんですね。
きっちりと計量してる感じが、なんかスイーツ作りみたいですね(笑)

堀江さん
確かに。匂いはちょっと生臭いですけどね(笑)
最後は魚粉ですが、アジとかイワシとかが入ってますね。これを606g入れていきます。

小粥
ラーメンの出汁の匂いだ。

堀江さん
あとはこれをダマがなくなるまで練っていきます。隣の研究所とか養鰻場は量が多いので練り機を使って作っています。
だんだんと、まとまってパン生地のような固さになっていきます。
(コネコネしながら)美味しそうな感じになってきたかな。

小粥
…これ、食べたことありますか。

大竹さん
オキアミを乾燥させたものならありますけど、これはちょっと…(笑)

堀江さん
ないです。勇気が出ないですね。
ちょっと臭いますけど、よかったら触ってみますか。

プルンプルン

大竹さん
僕らが作るときは手袋をつけますね。
手袋なしで作ると洗っても洗っても…(笑)
石鹸使って洗っても半日ぐらい臭いですね。

堀江さん
家に帰ると家族に言われます。「今日、練ったでしょ?」って(笑)
練った餌は、時間が経つと形が崩れていってしまいますので、餌やりの間際に作ってすぐあげるようにしています。

小粥
このかたまりを小さくちぎってあげるんですか。

堀江さん
いえ、このまま投げ入れるような形で与えています。
ニホンウナギは、餌のかたまりに頭を突っ込んで、デスロールして食いちぎるんですけど、バイカラは意外と口の開きが小さいので、平たくしてあげたほうが食べやすいと思います。

左がバイカラウナギ用、右がニホンウナギ用

小粥
げんこつハンバーグと普通のハンバーグだ。

ウナギのパクパクタイム

「うなぎの池」こと養殖池の上部

堀江さん
餌の与え方なんですが、うちも養鰻場と同じように、籠に餌を投下しています。

小粥
うわ!すごい!まだ餌を入れてないのにもう側まで来てる!

松本さん
はい!それではみなさま、今からバイカラウナギにご飯を与えていきたいと思います。
それでは行きますよ〜!3・2・1…!お願いします〜!

司会の松本さんからの合図で餌を籠へ投下する堀江さん

堀江さん
目が悪いので反応は少し遅いですね。数匹食べると匂いが広がるので、そうするとみんなだんだん気づき始める感じですかね。

小粥
バイカラウナギは、なんか…不器用なところがかわいいですね。

堀江さん
そうですね(笑)籠の上が空いているので上から食いついた方が食べやすいと思うんですけど、みんな下から来ちゃってますね。

小粥
(隣の水槽を見て)結構、活発にニホンウナギが動いてますね。

堀江さん
時間と人がここに立っている状況でなんとなく「餌かな〜」ってソワソワしてますね。

小粥
「そろそろご飯タイムが始まるぞ〜っ!」てわかってるんですね。

堀江さん
ニホンウナギの方が数が倍くらいいるので、迫力はこっちの方があるかもしれないです。

ニホンウナギの池にも餌を投下
群がるニホンウナギ

小粥
ニホンウナギはアグレッシブですね。すごい食いつき!籠が動いちゃってるくらい。
ニホンウナギの新たな一面を見たって感じ。

堀江さん
昼間はどうしても休んでいることが多いので、ご飯時くらいですかね、パワフルなのは。
夜の方が泳いでたりしますね。

小粥
ウナギは夜行性ですもんね。
あ~、もう餌が無くなっちゃう。

堀江さん
調子がいいと30秒から1分くらいで無くなっちゃう日もありますね。
今日はちょっと時間かかってるかな。

小粥
バイカラウナギはペースが遅いなあ。のんびりしてる。
食べてない子もいますね。毎食、食べなくても大丈夫なんですか。

堀江さん
毎食、食べなくてもウナギは割と大丈夫ですね。
ただ、繊細な面があり、食べなくなることもあるので、いつもノートに「今日は何gあげてどうだったか」を記録してます。

浜名湖や遠州灘の生態を紹介する地域密着の展示

小粥
ウォットでは、浜名湖の魚をメインに展示されてますけど、どうやって生き物を入手しているんですか。

松本さん
基本的に生き物を入手する方法が3つあって、一つ目は漁師さんから。毎日もらいに行ってます。二つ目は自分たちで採集しにいく。3つ目は卸さんから購入する。
量的には漁師さんから入手することが多いですね。

大竹さん
7、8割は漁師さんから入手していますね。
購入は年間でも5回くらいですかね。3ヶ月にいっぺんとかそのくらい。

小粥
漁師さんというのは舞阪漁港の?

大竹さん
舞阪もありますし、鷲津も。自分達が毎日訪ねに行くのは雄踏ですね。

小粥
季節によって入手できるものも違ってくるんですか。

松本さん
そうですね。結構バラバラです。

小粥
なるほど。ここの展示は真の意味で “この地で獲れるもの” なんですね。

大竹さん
基本的に常設は地のもので、企画展に関しては季節やテーマに沿ったものが多いですね。

小粥
ここに来れば浜名湖や遠州灘の生態が見れるんですね。

大竹さん
そうですね。一通りご覧いただけると思います。

小粥
そういえば、先ほど、バイカラやニホンウナギも浜名湖で見られるって聞いて驚きました。

大竹さん
そうですね、割合だとニホンウナギがほぼほぼ99%。その他の1%の内、多いのがオオウナギ、さらに珍しいのがバイカラウナギって感じですかね。

小粥
バイカラウナギの方が珍しいんですか。

大竹さん
オオウナギが10いたら、バイカラウナギが1紛れ込んでるかなってくらいですかね。

小粥
オオウナギを見てると動物みたいな動きしてるなって。ニホンウナギもじっと見てると、口をパクパクっとして、すごくかわいらしく感じました。
スタッフの皆さんも愛着は湧いてくるものですか。

大竹さん
ウナギに関しては寿命も長くて、10年ほど生きるものもいるので、そうなるとやっぱり…。
魚って個体識別は難しいですけど、それでも長く飼育していると愛着は湧きますね。

小粥
「今日、あいつエサ来ないな?」みたいな

大竹さん
「今日、ちょっと元気ないな」っていうのはあります。
魚同士の相性があるんですよ。展示内容によっては別の水槽に移さなくちゃいけないこともある。こっちの水槽では一番強かったけど、あっちの水槽に入ったら新入りだから、なんか肩身狭そうな姿を見せたり(笑)バランスを見て、喧嘩しないように工夫したり隠れ家を作ったりしますね。

小粥
面白い。
彼らには彼らなりの社会があるんですね。

取材を終えて

浜名湖の生物の世界を見て感じることができ、とても興味深かった今回の取材。
生きているウナギはヌメヌメニョロニョロとしたイメージで、どちらかというとウナギは食べるのが専門だった筆者ですが、水槽の中でゆらゆら口をパクパクしているニホンウナギに「ウナギの生きている姿ってこんな可愛いの?」と癒しをいただき、生き物としての愛着が湧きました。

大量のちりめんじゃこ

こちらの大量のちりめんじゃこは、ウォットの大人気体験「チリメンモンスターを探そう」で使われるもの。
ちりめんじゃこの中からチリメンモンスターとよばれる海のモンスターを探すという内容の体験教室で、チリメンモンスターというのはカタクチイワシ以外の生物のことを指します。
ちりめんじゃこと一緒に多様な幼魚が紛れ込んでいるとのことで、資料を見ながら「この子はこの生物だ!」と特定していきながら海の生物について学ぶことができます。
ちなみに、浜松科学館でも同様の体験教室が開催されていますよ。

ありがたいことに、こちらのチリメンモンスター入りのちりめんじゃこをいただけることに。

小粥
(ちりめんじゃこをかき分けて)これはボラですか?

大竹さん
これはボラですね。よく、春になると用水路に魚の大群がいるんですけどその仲間の魚ですね。

小粥
これは…ゴミ?

大竹さん
もしかしたらアナゴとかウツボの幼魚かも。
この辺はレプトケファルスかな…

小粥
レプト…?

大竹さん
レプトケファルスはウナギ目の魚の子供たちをそう呼ぶんですけど、

小粥
シラスウナギの手前ぐらいの子たちですか。

大竹さん
そうですね。幼体です。

小粥
これは…宝の山ですね。
以前、いただいた資料片手にちょっと頑張って探して観察してみたいと思います。

さらに加えて、観察用にウォットで息を引き取ったパンダウナギをいただけるとのこと。
これには小粥も大喜び。

小粥
今日、パンダウナギをいただけるということらしいんですが、帰ったら顕微鏡で色々見てみようかなと思ってまして、松本さんの「ここを顕微鏡で見たら面白いぞ」ってポイントはありますか。

松本さん
やはり体表ですかね。このパンダ模様は、色素がぬけてしまう「色素変異」が原因ですので、その変異がどのように見えるのか、気になりますね。

小粥
ウナギの鱗は表についてなくて、皮1枚下にあるっていう話を聞いたことがあって、それを見るのも楽しみなんです。
あとは側線でしたっけ、背中にある白い点々、これもみてみたいなあ〜!
それと、歯も見てみたいなあ。それと体全体にあるっていう味蕾も見てみたい!

今回の取材でもたくさん観察したいものを見つけることができたようです。
私自身は「そもそも、ウナギに鱗ってあったんだ!?」と、かなり衝撃でした。ウナギって見た目が全然魚っぽくないし、改めて考えると不思議な生物ですよね。

そんなちょっぴりミステリアスなウナギの秘密が気になった方は、小粥が解説する「浜松ミクロ散歩「二ホンウナギ【後編】」~鱗の並びはうなぎパイ型!?~」をぜひ読んでみてくださいね。あなたもウナギ博士になれるかも?

◆ 取材協力

浜名湖体験学習施設ウォット

◆ 記事執筆

黒川夏希(ウィスカーデザイン)

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