この枝を切り落とした犯人は誰?
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この枝を切り落とした犯人は誰?

前回の記事で、「小さな森での小さな出会い」という言葉を挙げました。
しかし、いきなり生き物と出会えと言われても、どこをどう探せばいいのか困ってしまうと思います。
今回は「小さな出会い」に出会うコツをご紹介します。

今の時期、自然観察園の歩道にはたくさんの枝が落ちています。
拾い上げて見てみると、どの枝も青々とした葉と、ドングリが付いていました。
葉やドングリの形から、コナラの枝と分かりました。

つまり、①新鮮で、②ドングリの付いた、③コナラの枝だけがたくさん落ちているのです!
これは単なる偶然でしょうか?

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観察の解像度をもう少し上げてみましょう。

枝のもとの断面はスパっと刃物で切られたようにきれいです。
明らかに自然に千切れたものではありません。
誰かが故意に切り落としたのでしょうか?
人間の仕業ではないとしたら、枝を切り落とした犯人はいったい…もしかしたら野生の生き物?

う~ん…。

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行き詰ったところで、正解の発表です。
犯人は「ハイイロチョッキリ」というオトシブミ科の昆虫でした。

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本種は、象の鼻のような長い口でドングリに穴を開け、中に卵を1個だけ産み落とし、穴を掘った時に出た木屑で穴を塞ぎます。

その後、ドングリの下のあたりの枝を噛み切って、枝を落とすのです。
ドングリをよく観察すると、確かに穴の痕跡がありますね。

観察用にドングリを縦に切ってみると、乳白色の卵が1つ入っていました。
まるで真珠のような美しい卵です。

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孵化した幼虫は、ドングリの殻の中で実を食べます。
十分に成長すると、ドングリから出て土の中にもぐり、蛹になります。

道端で落ちている枝を見つけたら、ぜひ手にとってみてください。

切り落とされた枝にはドングリが付いていて、その中には1個の卵。
もしかしたらドングリの中で、ハイイロチョッキリの幼虫がモグモグと小さな音をたてて実を美味しそうに食べているかもしれません。

「小さな出会い」に出会うコツは、よく観察し、推理力をはたらかせること。そして偶然ではなく必然を見つけること。
名探偵になったつもりで、生き物観察を楽しみましょう (^^♪

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参考資料
・日本産幼虫図鑑. (学習研究社, 2005).

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浜松科学館自然観察園は地域の方々のお散歩ルート。歩道は端から端まで105歩。普通に歩けば1分足らずで通過してしまいます。 その1歩1歩にもたくさんの生き物がいて、関わり合い、科学的な事象が起こっています。「小さな森での小さな出会い」を少しずつお届けします。